プレスリリース
2022.11.28

ワイン残渣(ぶどう搾りかす)由来のエタノール商用化製造を実現:フードロス/ウェイストをはじめとした未利用バイオマス由来の国産バイオエタノールの技術開発・商用化製造を加速

独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させる社会を構築する研究開発型スタートアップの株式会社ファーメンステーション(本社:東京都、代表取締役:酒井 里奈)は、ワインを製造する過程で出る残渣で従来有効に使われないことも多かった「ぶどう搾りかす」を原材料に、高濃度エタノールの製造を実現し商用化いたしました。

ファーメンステーションでは、今後、規格外の農産物や食品・飲料製造時に出る副産物といったフードロス/ウェイスト、その他の未利用バイオマスを原材料とし、独自の発酵技術・製造設備を活用したエタノール等の発酵原料の技術開発、商用化製造を加速し、「バイオものづくり」に貢献してまいります。

今回手掛けた、ワイナリー・ワイン工場の製造過程で出るワイン残渣(ぶどう搾りかす)は、ワイン製造時に必ず大量に発生する製造副産物であり、一般的にその処理として、肥料や飼料として有償で引き渡す、もしくは産業廃棄物として処理することが中心でした。国産ワインが普及し、ワイン残渣の排出増加が見込まれる中、ワイン残渣の価値に着目しアップサイクルすることの経済的意義、および廃棄処分による環境負荷を減らす環境的意義の観点から、アップサイクルを可能とする技術開発が望まれておりました。

 「ぶどう搾りかす」を原材料としたエタノール製造においては、アルコール発酵における主たる発酵対象物となる「糖」が果肉・果汁として既に別用途(ワイン等)の原料として取り除かれており、皮や種子を中心とした残渣が発酵対象物となることから、これまでアルコール発酵における技術的課題が多く存在することが知られておりました。今回、ファーメンステーションでは、独自の未利用バイオマスデータベースおよび発酵微生物ライブラリより最適なレシピ・プロセスを選択し、複数ステップの試験を行うことで、「ぶどう搾りかす」を原材料に商用ベースでエタノール製造を行うことを実現。
また、今回の取り組みにおいても「ぶどう搾りかす」からエタノール製造をする際に出る「ぶどうもろみ粕」(発酵・蒸留副産物)を、工場近隣に位置するJA岩手江刺が運営するキャトルセンター(地域の畜産農家より繁殖和牛を預かり飼養を行うセンター)で牛の飼料として活用を行いました。
今後も資源循環の実現を目指し、継続的な技術開発をすることで、未利用バイオマスが発生する地域や事業者周辺でのエコシステムの形成も模索し、サーキュラーエコノミーの実現にも貢献してまいります。

詳しい製造プラットホームや、これまでの未利用バイオマスについては、こちらよりご覧ください。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000063.000051332.html